不妊症看護って何?

みなさまが考える「不妊症看護」って、どんなことでしょうか?

この答えが出るまでには、私は10年以上かかりました。


不妊治療に限らず医療を代表する職種として、まず頭に思い描くのは「医師」と「看護師」だと思います。その「医師」と「看護師」の役割ですが、不妊治療の中では不明瞭な点があります。 それは「情報提供」という言葉のマジックです。多くの外来患者を診察しなければならない医師が多くの時間を費やす「治療説明」を行うことは非常に難しい事です。そのため、不妊治療の分野では、本来医師が行う「治療説明」を「情報提供」と言葉を換え看護師が行っている施設が多いのではないでしょうか? その「情報提供」が看護師の役割とされてきた結果、看護師が本来行うべき「看護」を見えにくくさせているのではないかと考えます。確かに「情報提供」は患者の意思決定を支えるうえで、とても重要なことです。しかし、その情報提供だけで満足している看護師もいるのではないでしょうか? それでは「医療情報」を患者へ説明しただけであり、「不妊症看護」と呼ぶには程遠いと私は思います。私は不妊症看護を考える時に「治療説明」「採卵の介助」「注射」などの「医療的要素」は2割程度でしか考えていません。残る8割は、目の前にいる患者が「意思決定していくうえ」「治療を進めていくうえ」で何か問題が生じていないか? 問題がある場合には、看護師としてどこまで介入できるか? について考えます。例えば、意思決定をおこなううえで「夫の考え方と妻との考え方で温度差があった場合」には、「オタワ意思決定ツール」を用いて夫婦それぞれの考えをまとめてもらい、少しでもお互いの考えが共有できるようにしたり、治療を進めていくうえで「仕事の都合で診療時間内に注射来院ができない場合」には、医師へ相談して治療に影響がない内容である事を確認したうえで、早朝からの採卵で業務をしている看護師やhCGを打つために夜間にいる看護師が注射を行うことが可能か調整したり、そんなことばかりを考えて患者の対応を行っています。また、難治性男性不妊症と呼ばれる非閉塞性無精子症の場合には、顕微鏡下精巣内精子回収法を行っても明らかな精子が見つかる確率は20~60%と言われています。そのために約半数近くの男性不妊症患者は、精子が回収できずに厳しい宣告を受けることになります。このような(精子が回収できなかった)症例では、医師が役割を発揮する場面は少なくなりますが、医療だけでなく患者の抱えている問題に視点をおいている私たち看護師の場合では、患者との関係性はその後も続き、看護師の役割が発揮される場面だと思います。実際に手術を受けて2年以上が経過しながら、看護師に相談を求めてくる患者もいます。


だらだらと、偉そうなことを書きましたが・・・つまり・・・

「不妊症看護」とは、看護師としての自分が持っているアンテナ(アセスメント能力)を不妊症治療に合わせて(私は、このアセスメント能力を上げるのに10年以上かかりましたが・・・)常に不妊症治療を受ける患者の「治療中」または「治療前後」で起こり得る問題に視点をおき、看護師としてそれを支えることだと思います。また、アセスメントの数だけ不妊症看護はあると考えます。